栄養バランスを考える

肥満猫のためのキャットフード

少し丸い猫の方が、愛嬌があって可愛かったりしますよね。
猫の場合、何を基準に肥満と言うのか知っていますか?
肥満を測る目安にはいくつかありますが、まずひとつが見た目になります。
体を真上から見たときにウエストがくびれていて綺麗なラインがあることが理想的ですが、くびれがわからずに骨盤も目立たないようでしたら、それは肥満です。

また、体を触った時に助骨を探すことが難しい場合も肥満になります。
次に肥満を測る目安になるのが体重です。
猫にとっての理想的な体重は1歳頃の体重と言われています。
成長期の子猫から成猫になるまで体重が増加し続けて、1歳を超えると体重の増加がゆるやかになります。

そして、1歳から4歳くらいまでの間も少しずつではありますが体重は増えていきます。
この間に増えた体重が15%程度でしたら問題ありませんが、15%を超えるようでしたら肥満と判断します。
また、見た目では判断しづらい隠れ肥満の猫ちゃんもいますので、4歳を超えた中年期頃にレントゲンやエコー検査をして診てもらうと良いでしょう。
「うちの猫は少し太っているけど、愛嬌があってかわいいのよ」などと言って、そのまま肥満を放置しておくと肥満が原因で様々な病気を引き起こす可能性があります。
肥満になることで心臓や血管への負担が増え、心不全や心肥大、高血圧などの病気にかかる可能性があります。
そして、体重が増えることで関節に負担がかかりヘルニアや関節炎にかかる可能性もあります。

また、糖尿病や皮膚病、腫瘍ができるリスクも高まると言われています。
それでは、肥満が疑われた場合はどのような方法で治療をすることが望ましいのでしょうか?
まず、大切なのが一日に摂取しているカロリー量を把握することです。
成猫の場合は“体重×70~80カロリー”が一日に必要とするカロリー量と言われています。
運動量が少ない猫の場合は、“体重×70カロリー”で計算をします。
たとえば体重が5kgの猫の場合、“5kg×70カロリー=350カロリー”が一日に必要なカロリー数となりますので、350カロリーを超える量をあたえているようでしたら、エサの量やキャットフードの種類を変えてカロリー数を抑える必要があります。
すでに肥満傾向にあってダイエットが必要な猫ちゃんは“280カロリー”くらいに抑えてあたえるとより効果的でしょう。

次に考えられるのは、キャットフードのタイプを変えて体重を減らす方法です。
今、食べているキャットフードを減らす方法もありますが、猫にとって楽しみにしている食事の量を減らされることはストレスになります。
ストレスをできるだけかけずにダイエットをするためには、量をあまり減らさずにカロリーを抑えたライトタイプや肥満対応のキャットフードに切り替えてあげると良いでしょう。

ただ、いきなりキャットフードを変えることもストレスになる場合があります。
最初は今までのキャットフードのうち、20%くらいの量を新しいキャットフードにしてあたえ、様子を見ながら徐々に割合を増やしていくようにしましょう。
他に考えられることは、間食を減らすことです。
通常の食事のカロリーを調整していても、間食をあたえていては何の意味もありません。
ご褒美やおやつをあたえたい時は、一日にあたえるキャットフードの中からあたえるようにしましょう。

最後に重要なことは、やはり運動をすることです。
運動をすることでエネルギーが消費されますし、筋肉がつくことで代謝があがり痩せやすくなります。
ただ、高齢の猫ちゃんや関節炎などの病気にかかっている猫ちゃんを無理に運動させることはかえって危険です。
激しい運動をするのではなく、猫じゃらしなどで少し遊んだりします。
そして、穴を開けたペットボトルにキャットフードを入れて転がしたら出るようなおもちゃで遊ばせたりするなどの工夫をしてあげましょう。
ダイエットの方法を間違えると逆に体調を崩す結果になる可能性もあります。
ですので、「太ってきたかな?」と感じた時は、一度、獣医さんに相談をしてからダイエットをはじめることをおすすめします。